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アメリカ国内で事業を営む
アメリカ法人・日本支店ではなく、正々堂々アメリカで事業を営もうという方!その度胸アッパレです。専門家や現地パートナーの選び方、資金調達、営業、そして万が一失敗してしまったときの撤退方法までをご紹介いたします。
米国内起業時のビザについて
アメリカ法人の種類と選び方
専門家とパートナーは慎重に選べ!
資金調達と求められる起業家像
アメリカ式経営論
いよいよ進退窮まった!撤退の極意

米国内起業時のビザについて
ここでは、米国内で起業し、そのまま米国で営業活動を行う場合のビザに関してまとめました。いくつか方法がありますが、通常の人にできることとできないことがありますので、ご自分に当てはめて考えてみてください。おそらく1つか2つのオプションが残るでしょう。
@一億円近くをアメリカでの事業に投資して「投資家ビザ」
を得る。最低100万ドルを事業に投資し、10人以上のアメリカ市民を雇用することで、ビザ取得を飛び越えていきなり永住権を所得する。でも、これができるくらいなら苦労しない。。。
Aアメリカで別の会社勤めながら永住権を取得し、その後独立。以外と順当な手段で、もともと専門スキルのある人であれば、どこかの会社でアメリカでの会社経営を学びながら独立の機会をうかがうことで起業後の成功率が高まります。
Bアメリカ人と結婚して永住権を得る。これは、お相手がいればよいですが、起業するために結婚相手を探すというのは本末転倒というものです。
C日本に親会社を作ったうえで、アメリカの子会社を設立し、子会社に取締役(E-1ビザ※1)、投資家(E-2ビザ※2)、管理職(L-1Aビザ)あるいは専門職(L-1Bビザ)として出向する形で労働ビザを取得。Lビザは、最初の有効期間は3年で、L-1Aは最長合計7年まで、L-1Bは最長合計5年まで延長可能。
Eビザは発行後5年間有効で何度でも延長できますが、一度で許可される滞在期間は1年だけになります。したがって、1年以上滞在する場合は、イミグレに延長申請を提出するか再入国が必要になります。
Dアメリカ法人のオーナーをパートナーのアメリカ人とし、自分は専門分野のプロとしてのH1ビザを取得。そこからビザの延長を経て永住権を取得。
(※1)E-1ビザ・・・以下の条件を満たす場合にのみ発給。@派遣されるアメリカの子会社株の50%以上を日本人が保有していること。A貿易量の50%以上が日米間であること。B申請時点で貿易活動が継続していること。そもそも輸出入にかかわる仕事でなければ発給されない。
(※2)E-2ビザ・・・日本国籍の個人、又は法人がアメリカの関連会社の株を50%以上所有していること
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アメリカ法人の種類と選び方
アメリカで法人を設立する場合のオプションは以下の5つです。それぞれの形態を選ぶことで、税務や法律、経営上のメリット、デメリットがあるので、自分ひとりで決めずに、必ず現地の会計士、弁護士などに相談して最適な形を選ぶようにしましょう。後悔先に立たずです。
@個人経営
個人経営は、事業収入や支出は個人のものと考えられるため、個人の所得税申告書で精算することになります。さらに個人経営では経営者が法律上無限責任者となるので、失敗したときのリスクが高く、事業自体のリスクが比較的高い事業であれば、株式会社やパートナーシップといった有限責任をとれる形態を考えるべき。
逆に情報ビジネスのような元手がかからないようなモデルであれば比較的気軽に始めることができるというメリットはあります。 |
A駐在員事務所
非常に限られた形での活動になります。というのも、いわゆる営業活動ができないからです。この形態が便利なのは、ビジネスプランがまだ完成しておらず、パートナー探しもまだこれから、といったような場合に限られます。州政府への申請は不要だし、事務所の活動が準備・補助的な範囲に限られていれば、法人税の対象にならない。ただし、すべての税金が免除になるとは限らず、給与関係税や固定資産税などに関する報告・支払い義務があるので必ず州ごとに確認する必要があります。
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B外国・州外の法人の支店
支店としてスタートするメリットは、創業時や事業が軌道に乗るまでの損失を日本の本店の利益で相殺できるということ。アメリカ支店からの日本の本店への利益配分は源泉徴収の対象から外される点もうれしい。
反面、アメリカ支店の債務や責任が日本の本店まで及ぶところは怖いです。訴訟国家アメリカのノリで、本店の人事管理制度や会計、税務処理も調査の対象となってきます。さらに法律上は、契約責任者が本店となるために、本店と現地支店との連絡に時間がかかる可能性がありますね。
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Cパートナーシップ(共同経営)
パートナーシップには、GeneralとLimitedの2種類があります。General
Partnershipは、利益追求のための共同事業体と考えられ、パートナーシップが法人として負う債務について無限責任を持ちます。一方、Limited
Partnershipの責任は有限で、拠出資本の範囲に限定されることになります。
パートナーシップは株式会社と違い、パートナー間の契約によりつくられるものですので、税務申告書は作成されますが、実際の税金は合意した割合に基づいて各パートナーが負担することになります。そう考えれば、パートナーシップの損失を個人の利益と相殺できる税務上のメリットもありそうです。
ただパートナーシップは、各パートナーが事業に対し、ほぼ同等に貢献できてはじめて機能する形態であるため、仲間割れのようなケースに陥ることもあるようです。よくよく考えてからこの形態をとることをおすすめします。
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D株式会社(現地法人)
日本でもおなじみの株式会社に関しては、多くの説明を必要としないでしょう。株式の譲渡が可能になったり、有限責任しか負わないなどは共通です。
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専門家とパートナーは慎重に選べ!
日本で起業をする際にもそうなのだろうが、アメリカで事業を起こす際に必ず必要なのが弁護士、会計士、不動産業者などの専門家の助けです。これは、アメリカが極端な訴訟国家であることにも起因していますが、要はうかうかぼ〜っとしていると様々な権利を奪われたり、あっというまに訴えられたりと大変なことになってしまう。なんとなく彼らが生き延びるために誰かが細工しているんじゃないかと思えるようなレベルだが、現実なのだからしょうがない。
ただし、これまた曲者なのが、「専門家」の肩書きがあれば安心できるかというとまったくそんなことはない、ということです。下手な詐欺よりタチの悪いプロフェッショナルはたくさんいるし、彼らからお金を騙し取られかねない!
では、どうやって専門家を選ぶのか?結局のところは人づてで探すのが一番安全という結論になると思います。都市であれば、その土地の日本人コミュニティに入り込めばだいたい口コミ情報は入手できるし、日本人専門家を紹介してもらえることもある。彼らが比較的信用度が高いのは、小さなコミュニティで仕事をしているから。下手なうわさが立てばその土地では営業できなくなってしまう。そういう意味で同郷のよしみ、というよりは現実的な問題として日本人の専門家を探す価値はあると思います。
あとは、専門家に依頼をする前に、以前のクライアントを紹介してもらうという手もありますね。紹介してくれないような専門家はハナから相手にすべきではないでしょう。
そしてパートナーについてですが、日本で共同経営というのは友達同士や知人で始めることが多いようですが、アメリカではまったくちがいます。アメリカでパートナーを探して起業するのは、お互いに不足している部分を補うため。したがって、自分の強みと弱みをよく知った上で、例えば営業力が足りないのであれば営業のプロ、財務に弱ければ財務会計のプロ、といったように自分と照らし合わせて合理的にパートナーを探していくのです。
自分によいビジネスプランがあって、それが多くの人の共感を得られるものであれば、パートナーを見つけることは日本で探すよりははるかに簡単でしょう。ただし、人格的な部分や倫理的な部分をよく見極めないといつの間にか会社が乗っ取られていた!なんてことも冗談ではありませんので、慎重に。
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資金調達と求められる起業家像
日本に比べてアメリカでの資金調達は比較的容易と考えられています。そしてそれは必ずしも間違ってはいないですが、正確でもありません。比較的容易な点は、個人の信用や実績にさほどとらわれることなく、事業アイディアやプランの優れたところを見てくれるというところ。そして正確でないというのは、アメリカで投資を受けるためにはやはり日本と同等のあるいはそれ以上の厳しい目を潜り抜けなければならないという点です。
具体的に投資家が見るのは大きくわけると3点。
@市場の可能性
まず、参入しようとしている市場が十分な大きさをすでに持っているか、あるいはもっとよいのは急成長を遂げていてシェア拡大の可能性があるかどうか。きちんと投資を回収するためには可能性のある事業以前に可能性のある市場への投資が不可欠です。
A起業家の資質
次に、特にベンチャーにおいては、起業家の資質が問われます。経験や実績はもちろんのこと、人格、専門能力、人脈、リーダーシップ、誠実さ、体カ、精神カ、素直さ、分析能カ、柔軟性など走り始めのベンチャーに求められる資質は数え上げればきりがありません。ただ、極端な話、「こいつに賭けてみたい!」と思わせるだけの人間的魅力が必要でしょう。
B売れる商品・サービスの優位性を確保できているか
最後に、きちんと売れる商品やサービスを持っているか。これは当たり前ですし、起業を考えるほとんどの人はここから入ると思いますのであまり問題にはならないかもしれません。ただ、「自分が売れると思う」のと実際に売れるかどうかはまったく別次元の話です。できるだけ想定顧客の話を分析し、売れる確信が内外で築けてから起業されるというのが王道でしょう。
ちなみに、アメリカの投資家から資金調達をする際に基準にできる数字があるようです。それは、創業してから5年以内に売り上げと純利益がそれぞれ最低5,000万ドル、500万ドルを超えるという点です。つまり、これだけの予想が立てられないプランであれば、投資は諦めて別の方法を考える必要があるということです。もちろん、これはあくまでも基準ですし、場合によってはこれほどの見通しがなくとも投資が決まることはありますので、諦めずにトライすることも必要です。
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アメリカ式経営論
アメリカでビジネスをはじめるのであれば、日本での常識のうち多くのことが通用しないということをまず肝に銘じる必要があります。
まず、アメリカ人に気持ちよく働いてもらうにはとにかくコミュニケーションを大事にすることです。とかく日本では、言葉にならないコミュニケーションが用いられがちですが、アメリカ人には当然通用しません。日本人が多く勤務する会社であれば、日本語での会話が閉塞感をもたらすこともあり、従業員みんなが気持ちよく働くことのできる環境づくりをおろそかにすることは自分の足元をかき崩すようなものだと思ってください。
次に、人材管理という面では、透明な評価制度とフィードバックのシステムが非常に重要になってきます。自分の実力に応じた報酬を得るというのは当たり前の考え方ですので、不透明な評価制度が不満を募らせる原因になったりすることが少なくありません。また、そういう意味ではいわゆる「社長」もその対象外ではないのです。「社長」に経営の実力が不足していると株主が判断すればあっという間に解雇されるということも。自分が100%出資でオーナー社長といった場合にはそんなこともないでしょうが、常に自分を含めて客観的にその実力および会社への貢献度を測るモノサシを準備しておくことが必要です。
そして、上記にも通じますが、とにかく「株主様」が最重要なんです。会社は「株主様のもの」なんです。その点が日本人にはまだまだ肌感覚として理解されていないケースが目立ちます。株主に振り回されるのを嫌うのであれば、出資を募る段階から持ち株の割合をうまく調整して牛耳られることのないよう配慮をしていく必要があります。また、投資家とは出資が決まった時点がゴールではなく、そこからのお付き合いです。くれぐれもコミュニケーションを怠らないように。
最後に、営業力の重要性を強調しておきたい。これは別にアメリカに限ったことではなく、日本でも同じなのだが、とにかく自分の商品やサービスに自信があるあまりに「どう売るか?」という点が見落とされていることがままあるようです。これこそアメリカの実力主義に便乗して、一流の営業マンに投資をしましょう。一度雇った営業マンの結果が出なければクビにするまでです。その辺りはシビアに対応していかないと、これまた「株主様」に優柔不断なCEOと判断されかねません。
郷に入れば郷に従え。アメリカ式の経営論も最低限理解しておきましょう。
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いよいよ進退窮まった!撤退の極意
アメリカで事業を起こし、約半数は設立後5年以内になくなるといいます。もちろん成功を目指して起業をするわけですが、万が一の事業のたたみ方は検討しておいたほうがよいでしょう。
一番傷が少ないのは会社ごと売却してしまうこと。アメリカの場合はとくに企業はまるごと売り買いできるものであるという概念が強い。お金も手に入るし、なにより従業員を路頭に迷わせることがなくなる。というのも、下手に会社を潰してしまうと、元従業員から訴訟をおこされて賠償責任を問われることがあるからです。ここでもまた訴訟社会アメリカが。。。
最後の手段としては、破産法の適用があげられます。たとえ法人として破産しても、個人への影響は薄いので、再度別会社を興すことも可能です。このあたりがアメリカで挑戦者の絶えない理由ではないでしょうか。
特にアメリカでは、ひとつやふたつの事業の失敗はむしろ成功へのエッセンスと考えられているところもあり、「意義ある失敗」であればその人の実績としてカウントされます。失敗するつもりで起業してはどうしようもありませんが、失敗を極端に恐れる必要もありません。
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