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レジュメの攻略法
海外での就職や外資系企業へ提出が求められるレジュメ(英文履歴書)。採用担当者がまず目にする「あなた」はこの一片の紙切れなのです。ここでつまずかないために、しっかりとレジュメの役割、書き方、考え方を学びましょう。
レジュメとは
書き方のプロセス
レジュメ暗黙のルール
レジュメの基本スタイル
リファレンスについて
転職成功レジュメの条件7カ条!
この本でレジュメを磨け

レジュメとは
「レジュメ」という言葉になじみのない方もいらっしゃるかと思いますが、日本の履歴書を英訳したもの、ではありません。例えば日本の履歴書に書くような紋切り型の項目や顔写真などはありませんし、フォーマットも基本的には個人にゆだねられています。
それではレジュメとはいったいなんでしょうか?私が大学在籍時代にキャリアセンターで教わったのは、「レジュメはあなた自身の広告だ」ということです。たった一枚の紙に「あなた」という人間がどのようなことを経験してきて、いかに会社にとって有益か、ということを表現するためのものなのです。したがって、職務経歴書と自己PRをあわせて体裁を整えたものと思っていただいてよいかと思います。
書き方のプロセス
レジュメを書く際の手順をご説明します。もちろんすべてこのとおりにやるべきだ、ということではありませんが、どこから手をつけたらよいかわからない方はまずこの順番でトライしてみてください。
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@自己分析
レジュメはあなた自身を売る広告です。まず自分自身の持っているものを棚卸しましょう。この段階では、応募先の企業のことは視野に入れず、とにかくすべてを書き出すことを考えてください。後で記述しますが、この中から相手先の企業にあった項目を選んでレジュメを完成させていくことが重要なのです。主な観点は以下です。
○いままでの職務内容。専門技術、専門知識に関わることはすべて書き出しましょう。また、ルーティンワークだけではなく、短期的に関わった仕事などももれなく書き出しておくことが重要です。自分ではたいした仕事ではないと思っていても、人がそう思うかどうかはわかりません。さらに、インターンなどの正規採用以外の経歴も忘れずに!
○それぞれの仕事内容に対応する自分の貢献を具体的に書き出しましょう。日本の職務経歴書と同様に、自分がこの仕事をやったことで売り上げが○%あがった、コストを○%圧縮した、新規顧客を○人囲い込んだ、などの具体性がポイントです。自分がいかに優秀かというのが端的にわかるようなポイントを探しましょう。
○資格。日本の資格であるならば、どのような資格であるかを説明した簡単な文章も用意しましょう。また、IT系の場合であれば、自分の精通しているハードやソフトの具体的な名称、習熟度なども書き出します。
○自分個人の性格や仕事の取り組み方などに関するPRポイント(コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、論理的思考、リーダーシップなど)をまとめます。
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A応募先企業分析
ひとつレジュメを多数の企業にそのまま送る人がいますが、これはオススメしません。もちろんある程度の自分のレジュメの雛形は用意しておいたほうが効率的でしょうが、実際のレジュメはそのつど作成することが重要です。
なぜなら、それぞれの企業やそれぞれのポジションに求められる資質や経歴は必ず異なってくるからです。そして、いかにそのポジションに求められる人物像を把握し、その人物像に近い形で自分を紹介できるか、ということが非常に重要だからです。
自分とかけ離れた人物になってしまっては困りますが、自分の経歴や資質の中で今回の応募ではどの点を強調すればよいのかをじっくり分析しましょう。
分析の方法としては、その企業のウェブサイトなどから企業文化や理念を確認し、人材募集の求人情報からより具体的などのポジションにどのような経歴、資質を持った人物が求められているかを把握しましょう。
このステップをおこたると、企業にとってアピール度の低いレジュメになってしまいますので必ずおこなってください。
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B自己分析と応募先の企業ニーズをマッチング
自分の経歴と資質の中で、今回の企業が求める人材により近い項目をピックアップします。あまりに関連項目が少ないのは問題ですが、余計なものがたくさん入っているレジュメも非常に見苦しくなりますので、バランスを大事にしてください。
ここでもう一点ポイントがあります。確かに資格やスキルに関してはマッチしたものだけを抜き出せばよいのですが、職歴はそうもいきません。なぜなら、「職歴にブランクがある」ことを海外の企業でも気にすることがあるからです。というより、大概の場合は意識されると思ってよいでしょう。
どうしてもこの部分はキャリアの一貫性を損ねるので省きたい、という場合も半年くらいの場合は問題ないですが、それ以上の場合にはよく考えて決めてください。面接時につっこまれてきちんと答えられるようにしておくことが必要です。基本的には少しずれたポジションで働いていたような場合には、その業務の中身の中で少しでも応募職種に近い要素をふくらませてアピールするのがよいでしょう。
また、アルバイトやインターンなどの経験も、特に新卒の人は堂々と書いてください。パートタイム、あるいは無給であったことを明記する必要はありませんので、自分が何をしてどんな貢献をしたかということに絞ってください。
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Cテンプレートを利用してレジュメを作成
いよいよ書くべき内容がきまったらテンプレートを利用してレジュメを作成しましょう。レジュメには大きくわけて3つのスタイルがあり(詳細は後述)、自分の希望職種やアピールしたい事柄を視野に入れて決めます。
そして、ここが最近の重要ポイント。実は、アメリカの大きな企業などでは今E-mailでレジュメを受け付けて、サーバ上で機械的にふるい落としをかけているところがあります。つまり、採用担当者の手に届く前に、コンピュータがレジュメの内容をスキャンし、あらかじめ設定されたキーワードにひっかからないレジュメはそのまま葬り去られているのです。
恐ろしいですね。。。
自分のレジュメが葬り去られないために何をするか?それは、企業側の「キーワード」を予測し、そのキーワードをレジュメの中に盛り込むことです。応募条件に記載されている望ましい経験や資格などは必ずのせましょう。特にIT系の場合には、具体的なソフトウェアの名前など、それほど習熟していなくてもとにかく書いておくことが重要です。面接までこぎつければなんとかなることが少なくないのですから。
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D最終チェックとプリントアウト
スペルミスはないか、表現に不自然な点がないか、再度確認します。できればこの段階で英語を母国語とする人に確認してもらうことが理想ですが、それが難しければ英語の得意な人でもかまいません。要は他人にチェックしてもらって独りよがりになっていないかどうかを確認することが重要です。
プリントアウトするときは、厚手で質のよいレターサイズの紙(アメリカの場合、他の国の場合はA4)に。
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Eカバーレターなどを準備する
カバーレターとは、レジュメに添えて送る手紙のことで、応募の経緯や、自分の一番のアピールポイントなどを記載します。職種によっては特に読まれていないという場合もあるのですが、「ごあいさつ」の気持ちを込めてお送りしましょう。相手の人への感謝を込めることが大切です。
また、推薦状(Letter
of Reference/Recomendation)を要求されることもあります。これは現在の上司などからあなたを推薦する文章を書いてもらうことで、あなたの力や資質を客観的にアピールしてもらえる最高の資料になりうるものです。要求があれば必ずつけますが、求められていなくてもこのようなメッセージは強いインパクトを残しますのでできれば依頼して書いてもらいましょう。その際日本人の上司の方であれば、日本語で書いてもらって訳文を返し、それを会社のレターヘッドのついた紙にプリントしていただくというのが正攻法かと思います。
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レジュメ暗黙のルール
レジュメにもルールがあります。それほど難しいことではありませんので、確実に守るようにしてください。
@基本的には1ページに収める。ただし、どうしても足りなくなるような場合であれば、「スキルシート」といった形で資格や使える技術などを別だしにして添付する方法もあり。
A主語の「I」は省略し、Action
Verbsを利用する。Action Verbsとは、あなたのキャリアを積極的に表現する動詞群のことで、具体的には、earned,
gained accomplished, developedなど多種多様なものがあります。もっと知りたい方はこちらから。
B現職がある場合には、その部分の経歴は現在形、過去の経験は過去形を使う。
C職歴や学歴は最新のものから古いものへさかのぼって記述する。たまに逆に書いている人を見かけますが、混乱を招きますので必ずこの順で。
D嘘は書かない。当たり前ですが、嘘はやめましょう。どうせ面接や仕事になったらバレてしまうのですから。ただし、適度に演出をすることは重要ですのでこのバランスを見極めてください。
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レジュメの基本スタイル
レジュメには大きくわけて3つのスタイルがあります。それぞれに特徴がありますので、あなたにあったスタイルを見つけてください。
@年代順(Chronological
Resume)
職歴や学歴を年代順に書くスタイルです。非常に一般的なスタイルで、失敗のない無難なレジュメができあがるでしょう。このスタイルをおすすめするのは、転職回数が比較的少なく、また経歴に一貫性のある人、職歴にネームバリューのある企業経験のある人など。またバックヤード系の仕事に従事している人です。絶対に避けたいのは、職務経歴に長期間のブランクがある人で、これは非常に悪い印象になりますので、Aのスタイルを選びましょう。
A技能ベース(Functional
Resume)
自分の持っている専門技能や専門知識を前面に押し出したスタイル。希望の職種が技術職であったり、特定のスキルを重視するような場合には非常に有効。また、職歴にブランクがある場合や転職経験が多すぎるような場合に欠点を隠してくれます。と同時に自分のスキルがメインになるので、採用担当者の心に響かないようなレベルのスキルであれば逆効果になる可能性もあるでしょう。
B年代順+技能ベース(Combined
Resume)
上記二つのスタイルの組み合わせで、年代順に経歴を書くとともにスキルも別途アピールします。この方法が有効なのは、経歴にまだ厚みのない新卒や、社会人暦5年以下の人。逆に、職務経歴や実績だけでページが埋まるような人、専門知識の記述だけで十分な人にとってはポイントがぶれるのでオススメしません。
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リファレンスについて
リファレンス(References)とは照会先のことで、日本ではあまり馴染みがありませんが、例えばアメリカなどでは非常に重視されています。これは、あなたの仕事を遂行する能力やコミュニケーション能力、人柄などを知る人へ企業が問い合わせができるように連絡先を記すものです。
すでに職務経験があれば、現職直属の上司、学生からであればインターン先の上司や教授などからもらうのがよいでしょう。
これを書いておくと必ず照会先に連絡がいくとは限りませんが、記述しておくことで、「この人は周りの信頼がある」「すでに現職の環境は調整済みだ」という認識を持ってもらえるので、可能であれば付け足しておくことをオススメします。
もちろん記述に際しては、事前に照会先の上司なり教授なりの許可を得た上で、できれば照会があったときに強調しておいてもらいたい事項などもあわせて伝えておくのがよいでしょう。
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転職成功レジュメの7カ条!
其の一 彼を知りて己を知れば百戦殆うからず
孫子の言にもあるように、とにかく自己を掘り下げること、そして応募先の企業を熟知することが何よりのステップです。これでもか!と思うくらい徹底して行いましょう。
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其の二 謙譲よりはアピールを
日本の文化的には、自分のアピールはほどほどに、と思いがちですが、海外の企業に履歴書を出すときは、間違ってもそのような考え方ではいけません。とにかくいかに自分をよく見せるか、いかに魅力的に印象付けるかということを常に意識してください。同じポジションに応募しているライバルは最低でも20〜30人はいると思ったほうがいいでしょう。
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其の三 キーワード重視
メールサーバーでスキャンされてしまうレジュメに至ってはもちろんのことですが、郵送の場合であっても、いわゆる「キーワード」は非常に重要です。企業側が探している人材を表現するキーワードは求人広告や企業のウェブサイトから拾い出しましょう。そしてそれらのキーワードを「これでもか!」というくらいにレジュメに埋め込んでください。
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其の四 余計なことは書くな
優れたレジュメの共通点、それは一貫性と簡潔性です。ごちゃごちゃといろいろ書いてあるレジュメに限って印象は薄くなってしまいます。まずひとつの「テーマ」を決め、そのテーマにそったレジュメ作りを心がけましょう。直接関係ないスキルや資格、趣味興味に至っては不要と考えて切り捨ててください。 |
其の五 生きたレジュメを書くべし
たまに見かけるのが、オンラインのレジュメ作成ツールで作ったものをそのまま使っている人。どう考えてもとってつけたようでその人自身が活かされていません。生きたレジュメを書くためには、基本的には自分でオリジナルのものを作成するのが一番です。また、表現に関していうと、Action
Verbsをいかに有効に使うかがコツです。読んでいて心が動かされるような表現を心がけましょう。 |
其の六 採用担当者の気持ちを汲む
何十、何百とレジュメをレビューする採用担当者。彼らの立場にたって考えることは非常に重要です。簡単なことでは、フォントの大きさやスタイルなどでアクセントを設けて目に留まりやすいレジュメにする、個性をきちんと表現する、カバーレターに丁寧なお礼を書く、など読んでいて気持ちのいい書類を送りましょう。 |
其の七 必ず人にチェックしてもらう
これはとても効果的な方法です。ネイティブの方に確認していただければ一番よいですが、身近な同僚などであってもかまいません。とにかく人が見てどう感じるか、どこを直したらよりよくなるのか、といったことをストレートに伝えてもらいましょう。 |
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この本でレジュメを磨け
ここまで、どんなレジュメを書けばよいかというのはある程度わかっていただけたかと思いますが、 より詳しく知りたい、あるいはサンプルレジュメを見たいという方には以下の本をオススメします。とにかく一冊買って、自分で作ってみることが大切です。
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オススメ
第1位

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アピールする!英文履歴書 |
ロッシェル・カップ他 |
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実際に就職・転職をする際に必要な英文履歴書の書き方を、外国人採用担当者が教えます。独特のフォーマットの解説、よい例・悪い例、採用者の目に留まるポイント、自分を売り込むための方法等について、そうとうの情報量です。
また、非常にうれしいのが、CD-ROMに文例を収録してあるので、それを応用するところから始められるところですね。
同じシリーズに、「受かる!英語面接」というのがあり、こちらもよさそうな感じです。
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★★★★☆ |
第2位

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英文履歴書の書き方〈Ver.2.0〉 |
有元 美津世 |
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「英文履歴書の書き方」の初版を出版してから6年目の改訂版で2003年の発売。履歴書のサンプルを作り直し、56例を掲載しています。とくにインターネットを利用する際の履歴書のフォーマット、送付方法が充実しているところがポイント。
フリーランサーや、コンサルタント、技術者、営業などより多くの職種を網羅したサンプルになっているため、ほぼこの一冊でどなたでも対応できるかと思います。
また、読者限定ですが、履歴書サンプルをオンラインで閲覧、ダウンロードできるようになっているので、非常に便利です。
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★★★★☆ |
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The
Global Resume and Cv Guide |
Mary
Anne Thompson |
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なんと世界40カ国以上の国々で、どのようなレジュメを書くべきかという情報が掲載されています。国によって就職事情が異なってくるのは当然のことですが、レジュメの書き方までその国にあった情報を提供してくれるというのはこの本しかないでしょう。
また、レジュメだけではなく、面接攻略法や、職探しの方法、有用なインターネットサイトの情報など付加情報も盛りだくさんです。特にアメリカ以外の国での就職を目指される方は必携の一冊といってよいでしょう。
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★★★☆☆ |
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